カプセル

クラミジアは、日本において最も感染者数が多い性感染症です。一口に性感染症と言っても、その原因は細菌やウイルス、真菌、寄生虫など様々ありますが、クラミジアはクラミジア・トラコマチスという細菌に感染することで発症します。そのため、クラミジアの治療には細菌に有効な抗生物質が使用されますが、中でも最も効き目があるとされているのがジスロマックです。

ジスロマックは、マクロライド系に分類される抗生物質で、アジスロマイシンを有効成分としています。ジスロマックは、日本性感染症学会が発行している性感染症診断・治療ガイドラインにおいて、クラミジア治療に対する推奨レベルがAランクに位置づけられており、最も効き目があると評価されていることから、クラミジア治療の第一選択薬として使用されています。クラミジアに対するジスロマックの有効性は、臨床試験によって実証されており、クラミジア・トラコマチスが原因で尿道炎と子宮頸管炎を発症した男女108人に対してジスロマックを投与した結果、98人が症状改善が見られました。その有効率は90.7%であり、ジスロマックの高い効き目が証明されています。

ジスロマックの有効成分であるアジスロマイシンは、細菌のタンパク質合成を阻害する作用があり、これによりクラミジア・トラコマチスが増殖できないようにする成分です。タンパク質の合成は、細胞内に存在するリボソームと呼ばれる器官で行われるのですが、アジスロマイシンはリボソーム内の50Sサブユニットという部分に結合して、リボソームの働きを阻害することでタンパク質の合成を防ぎます。クラミジア・トラコマチスなどの細菌が最も多くのタンパク質を使用するのは増殖する際なので、タンパク質の合成を防いでしまえば、クラミジア・トラコマチスの増殖を阻止できるということです。なお、人間の細胞にもリボソームは存在しますが、細菌と人間のリボソームは構造が異なります。アジスロマイシンは、細菌と人間のリボソームの構造の違いを見極めて50Sサブユニットと結合するため、ジスロマックは人間の正常な細胞に影響を与えることが少ないとされています。

ジスロマックは、以上のようなメカニズムで治療効果を発揮しますが、アジスロマイシンはクラミジア・トラコマチスの増殖を抑制する作用を発揮する成分であり、直接殺菌作用を発揮するものではありません。そのため、ジスロマックの効き目は比較的穏やかで、その分副作用などのリスクも少なく安全に使用できる抗生物質として使用されています。